ここでは、「HMS」の研修に参加し学習する方々が、予め研修のあらましや参加の心構えについて理解し、その学習目標を効果的に達成しようとするものである。
「HMS」は、「Hotel Management Simulation」(ホテル経営の擬似実験)から作られた言葉である。このシミュレーションは「ゲーミング」、あるいは「ビジネス・ゲーム」と呼ばれてきた「経営シミュレーション」の領域にはいるものである。 しかし、そのシミュレーションモデルの特殊性・先進性と研修プログラムのユニークさから、「HMS」という固有の名前をつけている。
デフレ基調の経済下にあって、改めて問われている課題は「経営の効率化」である。企業が付加価値を増大することは、企業経営だけの問題ではなく、経営者・従業員・顧客、社会の全ての人間の生活水準を向上させる基本である。
経営活動の「効率化」をはかることは、経営上必要な個人や集団としての仕事やシステムを研究することに他ならない。仕事やシステムは全社に渡る広範囲のものであり、その関係システムまでを含む限界のないものである。経営はこの無限の対象から、常に付加価値を増大させ、その有効性・効率性をはからねばならない。
経営者や管理者が、日常的な業務を少し広い視野から把えて認識しなおしてみることの価値も、この点にある。
又、新しいマネジメントに求められているアプローチは、「システム的な物の見方・考え方」である。限られた資源をしかも計画的に使わなければならない。しかも、経営や管理の問題は多様化し広範囲になり、複雑化している。このような状況で有効な考え方は、全体を把みとることと同時に、必要な細部には焦点を合わせるという、重点的なアプローチが前提となる。さらに、心や情緒を中心にしてきた従来のやり方の弱点をカバーするためには、システム的な考え方や技術を盛り込むことが必要である。
そこで「HMS」研修では、参加者(学習者)が現代的なホテルとその取り巻く環境の中で、経営者あるいは管理者として自分自身の役割を把握し、効果的に適応する理念や実践力 を十分に修得することに、その狙いを置いている。
すなわち、不確実さの多い現実と同じような経営の場が提供され、学習者はそこで実験室的にホテル経営を実践していく。その結果として生じる経営現象・社会現象によって、学習者の経営能力は客観的に評価されることになる。はじめに意図したもの、あるいは期待したものとの差異がでていると、その原因を深く追求し明らかにする。それは、経営情報の収集や加工の不手際のためかもしれない。あるいは、経営陣のチームワークが悪かったのかもしれない。更に、学習者の価値観・仕事観・固定概念等に起因するのかもしれない。
このように学習者の経営とその経営をなした背景に、問題を発見することになる。つまり、それは学習者に自分自身の知識・技能・態度あるいは、物の見方・考え方等について自覚する機会を与えているのである。
更に、様々の形で情報として提供される複雑な経営状況を多面的に分析し、総合して、経営意思決定をするというサイクルを何度も繰り返し行う中で、学習者は自分自身の持っている様々な技術や考え方を自律的に試行し検証していくことによって、経営者・管理者あるいはスタッフとしての能力を涵養することを意図している。
なお、「HMS」研修ではホテル経営の場を提供するために、コンピュータによるシミュレーションプログラムを使用する。現実に、ホテル企業のシステムとその置かれた環境の仕組みとは複雑に絡み合っていて、まさに「経営のジャングル」と呼ばれるほどであり、このような経営の場を作り出すことは、コンピュータの情報処理能力なしには不可能なのである。
次の図は、Plan(計画)・Do(実施)・See(評価・検討)の各段階をつなぐ、一般的な「マネジメント・サイクル」である。「HMS」研修でも、参加者はこれと全く同じ手続きをふんで、経営に取り組む。現実と違うのは、ここで与えられる「経営環境」が、「実際そのもの」ではなく、「モデル」であるという点のみである。

現実のホテル企業のシステムやマーケット・環境メカニズムの研究から、それらの本質的要素を抽出してシミュレーションモデルを構築している。モデルは、現実そのものではないが、現実的な働きかけ(意思決定)に対しては、現実と同じような反応(経営結果)を示すように作り上げられている。
ホテル経営シュミュレーションは、『戦争ゲーム(図上演習)』と同じように模型を使って、それを動かしながら現実を再現して、有効な手段や考え方・行動の仕方等を見つけ出すことを狙いとしたものである。
ホテル経営の模擬的な実践をしてみて、そこか得られえた結果を直接間接に、実際の仕事に反映させることを意図した、「教育プログラム」である。
学習者は、4~7人が1チームで架空のホテルの経営を実践する。現実と同じように、実績数字を分析して、経営上の問題を話し合い意思決定する。
意思決定とは、売上目標・新規採用・給料・広告宣伝・原材料仕入・設備補修・借入金等を決定することである。この数値をコンピュータによって処理し、その経営結果を打ち出す。
意思決定の良し悪しは、この経営結果に表れる。売上が達成できなかったり、利益率が悪かったり、問題があれば原因を追求して、次の意思決定に反映させる。
これを繰り返し行うなかで、自分の持っているあらゆる能力を試行し、原理原則を体験的裏付けをもって自分の血や肉として行く。

この研修の目標は、企業の従業員あるいは管理者として必要な
① 基本的な物の見方・考え方を養い
効果的に仕事ができるための
② 主要な理論や技法を修得する。
ことである。
例えば、
これらの目標や狙いは、固定されたものではない。又、一度の「HMS」研修で、これらの全てを満足させようとするものでもない。研修参加者のニーズと研修期間等の条件からその都度、設定される。目標・狙いについては研修のスタートに当って、参加者と運営スタッフとの間で確認される。
学習者の決定や行動が相互に関連し、しかもそれは時間とともに変化して行く。このように、「HMS」は経営モデルを使って経営の意思決定をダイナミックに経験して行く学習方法である。
「HMS」では、学習者の考え方や行動がいろいろな形の結果となって、客観的に即時にフィードバックされる。この生データをもとに学習が展開する。
3~4日間に、4~6期(1年~1年半)に相当する経営を体験する。時間的要素を導入し、組織・チームワークの重要性や長期的配慮の重要性・意思決定のタイミング、タイム・プレッシャー等を問題にするような現実によく似た、生きた状況に置かれる。
「HMS」研修では、学習者が主体的な試みを行なうことで学習が進展する。ひとつひとつの問題の発生が学習者の意思や行動に起因している。その問題発見が次の学習を導く。従って、ここでの学習は講義やテキストから何かを得るという受け身の学習ではなく、自ら積極的に参加し行動するなかで、自分のやり方を見つめ、自己の向上をはかるという「自己発見」「自己啓発」の学習なのである。この「自己啓発」こそ成長の基盤である。このことの理解は、「HMS」研修に参加する時の心構えとして、特に重要である。
「HMS」研修での学習の特色は、「体験的に学ぶ」という点にある。現実の企業経営の場では失敗による損失が大きいために、そこでは「やってみる」とか「やらせてみる」というのは難しい。今までに、ごく少数の人にしか与えられていなかった実践的訓練の「場」を広く経営者・管理者に提供することの必要性は、古くからいわれてきた。これに対して「HMS」研修では現実とよく似た架空の会社を経営するという模擬経験を通して、経営者・管理者の役割・機能及び物の考え方等を体験的に学ぼうするものである。

現実のホテルや市場の研究から、モデルを作っている。現実と同じように複雑でさまざまの要因が相互に絡み合っている状態を作り出している。このために、コンピュータの情報処理能力をフルに活用している。
このモデルは、現実のホテルの状況に極めてよく似ているため、学習者は知らず知らずのうちに引き込まれて、学習意欲は高まる。
ここで得られた考え方や技術は、直接的に現実の職場に適用できるものである。
この研修の中心となる経営実験の部分の進行は、次の通りである。

自分の意思決定によって生じる経営結果について、主体的に分析検討して問題解決に取り組む。時間の経過とともに、企業状態や経営環境が変化する。
経営チームが行なう意思決定の項目は、次のようなものである。ページ上部のメニューより「意思決定」を選択すると、このステップを行うことが出来る。

シミュレーションにより、毎期の意思決定に対応した経営結果報告書が出力される。ページ上部のメニューより「経営結果」を選択することで閲覧できる。これらの報告書は、一般的な財務諸表のフォーマットで印刷される。
